平家物語 2019 3 30

 平成30年の歴史は、日本企業の衰退の歴史と言ってよいでしょう。
平成の始まりは、世界の株式時価総額ランキングにおいて、
多数の日本企業が上位を占めていたのです。
 まるで世界ランキングではなく、
日本国内のランキングと勘違いするほどだったのです。
実に、上位50社の中で、32社が日本企業だったのです。
 しかし、今や、世界の株式時価総額ランキングにおいて、
上位50社にランクインしたのは、トヨタ自動車だけです。
(「ソニー&松下 失われたDNA」(安西 巧)から引用)
 まるで「平家物語」のような展開です。
平家物語では、頂点を極めた平家一門の悲劇的な結末が語られます。
 一ノ谷、屋島と敗北を重ねた平家は、
長門(ながと)の壇ノ浦に追い詰められ、
幼帝の安徳(あんとく)天皇は、
祖母二位尼(にいのあま)に抱かれて入水(じゅすい)、
一門の大半は、ここで自決する。
(日本大百科全書から引用)
 世界の株式時価総額ランキングの上位50社に、
1社だけ残っている日本企業は、
「壇ノ浦の戦い」まで追い詰められているのか。
 その可能性はあります。
グーグルが開発している「自動運転技術」、
テスラモーターズが推進している「電気自動車」、
ドローンの技術を応用する「空飛ぶ自動車」。
 このような産業革命に、
トヨタ自動車は勝つことができるのか。
いや、生き残ることができるのか。
 平成時代の「壇ノ浦の戦い」とは、
トヨタ自動車の戦いになってしまうのか。
 いや、元号が変わる。
新しい元号において、トヨタ自動車は、新しい戦いをすればよいのです。
トヨタ自動車こそが、「源頼朝」だと思いたい。
 しかし、そう思うと、
「木曽義仲」や「源義経」はいるのかと思いたくなる。

ゲームチェンジャー 2019 3 17

書名 ソニー&松下 失われたDNA
著者 安西 巧  日経プレミアシリーズ

「この30年は、まるでジェットコースターのような30年だった」
 著者によると、1989年にアメリカの「ビジネスウィーク」誌がまとめた、
世界の大企業1000社の株式時価総額ランキングを見ると、
上位50社の中で、実に32社が日本企業だったが、
2018年6月末に上位50社にランクインしたのは、トヨタ自動車だけである。
(引用、以上)
 どうして、こうなってしまったのか。
実は、産業構造の大転換についていけなかったからでしょう。
 現在、世界の株式時価総額ランキングを調べてみると、
上位5社は、時々、順番が変動しますが、
マイクロソフト、アップル、アマゾン、
アルファベット(グーグル)、バークシャー・ハサウェイの5社で占められているでしょう。
 この中に、製造業もなく銀行もありません。
アップルは、自社工場を持たず、中国で製造委託を行っています。
 要するに、この30年で、
アメリカにおいても、産業構造の大転換があったのです。
 かつて、大企業と言えば、製造業や銀行だったのです。
製造業や銀行が大企業の象徴であると言われた時代がありました。
 今は、製造業と商社の区分があいまいになっています。
自社工場を持たず、商品企画と設計に専念して、
製造は、他社の工場(外国)に製造委託をするという方式です。
これは、日本の商社が、昔、似たようなことをやっていたと思います。
 銀行においては、「Fintech」という金融技術によって、
IT企業も、金融業に参入が可能となったでしょう。
 たとえば、アマゾンが暗号通貨を発行すれば、
国家を超える巨大な経済圏ができるでしょう。
 アマゾンというと、インターネット空間の小売業を連想しますが、
今は、「AWS」というクラウドサービスのほうが利益が大きいでしょう。
 そういえば、アマゾンは宇宙開発を始めたので、
小売業→クラウドサービス→製造業に変化していくのかもしれません。
 なぜ、日本企業は、世界のベストテンから転落したのか。
本来はライバルであるはずの中国企業の経営者が指摘するのは、
「日本企業は伝統が強すぎるために、伝統を守ろうとするあまり、
世界の変化についていけないのではないか」という。
 もちろん、日本においても、
時々、「ゲームチェンジャー」は出現していましたが、
「出る杭は打たれる」という結果になっています。
アメリカや中国は、「出る杭」という偉才を育てていったのです。






































































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